第1章 再会の意味
出来の良い兵たちはあっという間に捌けていった。
文七郎も一度厨房に引っ込んですぐに食べ物を揃えると、超特急でそれを政宗の枕元に置いて去っていく。
「おい! 文七郎!」
それを不思議に思って引き留めようとした紫乃。
政宗は彼女の手を、もう一度強く握った。
「・・・っ・・・政宗殿、どうしたのだ」
彼の目は、いつものように険しい。
でも紫乃には分かった。
彼は弱っている。
大きな疲労と不安、やりきれなさ、そんなものが瞳の中で揺れている。
彼がそんな目をすることなんて今まで一度だってなかったのに。
「・・・政宗殿?」
心配になった。
なんでこんな目をしているのか、紫乃には分からなかった。
かわりに、握られた手をしっかりと握り返す。
「・・・大丈夫か? 政宗殿・・・」
「・・・なんで残った」
「え?」
「お前が殿になる必要はなかったはずだ」
彼が怒っていることに、紫乃はやっと気づいた。