第1章 再会の意味
「政宗殿、目を覚ましたのだな。苦戦したようだが生き残った者たちは無事に帰った!」
「・・・紫乃。・・・お前は無事なのか?」
「この通り、何ともない。豊臣秀吉はなぜか残った私に攻撃せずに去っていった。相手にするまでもないと思われたのだろうな」
はっきりとした紫乃の声。
こんなときだからこそ無理矢理に作っている笑顔。
いつもと変わらぬ意思の強い言葉。
──この瞬間の政宗には、全てが特別なものに感じられた。
「・・・文七。血が足りねえ。食い物はあるか。」
「は、はいっ!」
文七郎が立ち上がる。
紫乃はそれを止めた。
「文七郎。私が用意してこよう」
「紫乃さん・・・」
しかし、代わりに立ち上がろうとした紫乃。
彼女の腕を、政宗が掴んだ。
「・・・お前はここにいろ。紫乃」
は?と怪訝な顔を向けたのは紫乃だけ。
他の兵たちは、これは政宗が「コイツと二人にしろ」と自分たちに命令しているのだと瞬時に理解した。
「あっ、じゃ、じゃあ紫乃! 筆頭のこと頼んだぜ! 俺たちは里の警備があるからな! そ、それじゃあな!」
「あ、おい!」