第1章 再会の意味
政宗殿の大切なものを守る。
私が奥州へ来たのは、そのためだ。
それが今になって、私たちが再会した意味なのだ。
「馬鹿いってんじゃねぇ! お前は筆頭の女だ! 置いていけっか!」
それは違う。
勘違いするな。
政宗殿が守ろうとしているものは、お前たちだ。
『伊達軍』なのだ。
──四人組や古参の兵たちは動こうとしなかったが、新顔の兵たちは政宗殿の体を担いで馬のもとへと走り始めた。
そうだ、それでいい。
「お前らも行け! ここは私一人で十分だ!」
「「紫乃!」」
「お前らは伊達軍だろう! なら生きてお前らの筆頭を守れ!
それにっ・・・伊達政宗は、私の想う男だぞ! 死なせたら、死んでもお前らを許さぬ!」
「・・・紫乃っ・・・!」
勝手に涙が流れていた。
ここで私の全てが終わるのかもしれない。
それでも私は本気だった。
豊臣はまだ足を止めている。
──良直は涙を流しながら、撤退の法螺貝を吹いた。
「・・・ありがとう、良直・・・それでいいんだ」
撤退する伊達軍が見えなくなっていく。
この決断を私は後悔することはない。
ここに散ろうとも、私が奴に捧げた命に偽りはないのだから。
─どうか政宗殿を死なせないでくれ。