第1章 再会の意味
「政宗殿!!!」
「筆頭!!!」
長い一騎討ちの末だった。
豊臣秀吉はいたぶるように、政宗殿の身を投げ捨てたのだ。
砂埃が舞う。
すでに動かなくなっていた政宗殿の体が地面に叩きつけられる。
その体に、さらに豊臣秀吉は近づいていく。
──もう、見ていられなかった。
「や、やめろっ・・・やめてくれ・・・」
横たわる政宗殿の体と近づいてくる豊臣の間に、気づけば私は立っていた。
両の腕を広げて守っていた。
おそらく政宗殿が倒された相手なれば、私なぞ簡単に殺されてしまうだろう。
それでも体は勝手に動いていた。
「・・・」
豊臣は何も言わない。
表情も変えない。
「紫乃!」
「筆頭!」
生き残った伊達の連中も次々に私の背後に横たわる政宗殿の体に覆い被さり、盾となった。
どこから斬りかかってこようと、政宗殿だけは死んでも守ってみせる。
そんな決意のもとに。
──このままでは、政宗殿が大切にしてきた兵達までもが・・・
「良直!」
「なっ、なんだ紫乃」
おそらくここにいる全員が死を覚悟している。
でも、政宗殿なら、そんなことは許さないはずだ。
自分に代わり大切な部下たちが斬られること。
そんなこと望んでいない。
緊迫したこの状況の中、私は覚悟を決めた。
「撤退しろ! 政宗殿と、生き残った連中を全員連れて!」
「はっ!? さ、さすがに追い付かれちまうぜ! 走れる馬は芦名との戦場に乗り捨ててきちまったし・・・」
「なら馬まで走れ! 殿(しんがり※)は、私が引き受ける!」
(※殿=仲間が撤退するための囮)
「は!? 何言ってんだよ紫乃っ・・・」