第1章 再会の意味
悔しいが、竹中半兵衛の言うとおりだ。
片倉殿を助けたいのなら、私のことなど見捨てるべきだった。
・・・でも、そんなこと、政宗殿はしない。
己の爪で、全てを守ろうとするのだ。
そんなこと分かっている。
彼のそばにいて、彼のやり方なんて十分理解している。
「・・・・おい、あんま俺を怒らせんなよ?」
「おや、何か気に障ったかな?」
「テメェに捧げてやる命なんぞ、はなっからコイツには持たせた覚えはねぇんだよ! 」
政宗殿・・・。
私を背に庇うように、政宗殿は竹中に斬りかかっていった。
かなり怒っているせいで、その太刀筋は見えないほどに速い。
あっという間に竹中が押され始める。
「くっ・・・」
分が悪くなったと感じとった竹中は、すぐに撤退の合図を出した。
「待ちやがれ!」
「政宗君、僕はこれで退散するよ。君は芦名と奥州の取り合いを続けてくれ」
退散ばかり、いつも巧い奴だ。
政宗殿にとっては怒りを煽るだけのこと。
馬に乗って去っていく竹中の姿は、芦名の兵にまみれて見えなくなっていった。