第1章 再会の意味
蛇のように動き回る竹中の剣に対して、私の剣は直線的に飛んでいった。
奴はするりと身をずらして避けていく。
「守るものがたくさんあって政宗君は大変だね。でも、もうその苦しみも終わりにしてあげるよ」
そう言って、涼しい顔をしたまま竹中は私の心臓に向かって剣を飛ばしてきた。
するすると私の刃を避けながら、奴の剣が間合いに入ってくる。
「っ・・・!」
まずいっ・・・
懐に入られるっ・・・
思わず、痛みに備えて歯を噛み締めた。
でも、私に当たってもいい。
私も一撃くらわせるまでた。
柄を握る手に力を込めて、奴に放った刃の軌道を変えた。
直線的だった私の剣の太刀筋は、突然ぐるりと軌道を変え、竹中の背中をまわって懐へと飛んでいく。
「何っ・・・!?」
さすがに驚いたのか、竹中の剣はぶれた。
いけるっ・・・!
奴の剣は私の胸に突き刺さるだろう。
それでも、同時に私の剣も、奴を貫くはずだ。
───しかし、それを阻んだのは、政宗殿だった。
「紫乃テメェ! 何考えてやがる!!」
政宗殿は刀一本で、私に向かっていた奴の剣を振り払った。
しかしそのせいで剣ごと引っ張られた竹中の体もふわりと宙に浮いてしまい、私の剣は奴には当たらなかったのだ。
「政宗殿! 何をする!」
「それはこっちのセリフだ・・・! 刺し違えるような真似してんじゃねぇぞ! 死んだらたたっ斬ってやる!」
死んだら斬るとはおかしな話だが、彼の目は真剣だった。
これ以上ないくらいに血相を変えて怒っている。
「残念だったね政宗君。・・・今、彼女の尊い命を捧げていれば、僕に瀕死の重傷を負わせることができたはずだ。ときには優先順位を考えることも大切だよ。失った右目を取り戻したいならね」