第1章 再会の意味
・・・いや、もしや全て豊臣の策略だったのか?
伏兵は明日を待てば正体を突き止められてしまうと踏んで、この期を逃すまいと策を講じてきたのだろう。
・・・なんでまた私は、そこまで頭が回らぬのだっ・・・
甲斐は先に、小田原や宇都宮を使い豊臣が講じてきたその伏兵戦術に苦しめられたことがある。
お館様や佐助様にあれほど気を付けるよう言われていたのに・・・。
なんで肝心なときに、いつも見逃してしまうのだ。
「政宗殿っ・・・どうする・・・!?」
「決まってやがる。歯向かう奴等は、もういっぺん叩き直すしかねぇだろうが・・・! おい、お前ら、出陣の準備だ! 」
「政宗殿! 私も行く!」
すぐに髪を高く結い、装束の鎧部分を留め直した。
しかし政宗殿は私の腕を掴み、屋敷へと突っ返す。
「テメェは待ってろ!」
「何を言う! 敵が迫っているのだろう! 今加勢せずに私がここへ来た意味があるか!」
「うるせぇ! いちいち口答えすんじゃねぇ!」
どうしたのだ政宗殿。
織田との戦のときは私に背を任せてくれたときだってあった。
覚悟を決めた私に、来るなと命令することなど今までなかったのに・・・。
「お、お前に許可などもらわなくとも、私は出陣させてもらう! 兵を振り分けろ! お前が不在の兵たちに加勢する!」
「チッ・・・!」
政宗殿はとても納得していなかったが、事は急だ。
こうして言い合いをしている間にも、敵の勢力はこの地へ迫っている。
それを感じとったのか、私への説教は終わりにして兵を振り分け始めた。
ここで奥州が生きるか死ぬか。
私たちにかかっている。
片倉殿に、奥州が滅んだなどという知らせを聞かせるわけにはいかない。
私は刀を握り、伊達の軍勢とともに出陣した。