第1章 再会の意味
はあ、はあ、と。
欲望をぶつけ合っていた熱と息づかいだけが残る。
政宗殿の息づかいには、中断させたことに対する私への苛立ちも含まれていた。
「政宗殿っ・・・やはりだめだっ・・・! もう私の潔白は分かっただろう! だから、もうっ・・・」
どうして幸村様の顔がよぎったのか。
薩摩へ出向かれた幸村様。
それを送り出すことしかできなかった私は、こうして奥州へ来た。
離れていても、豊臣を倒すという目的を果たすまで、幸村様とは一心同体。
──幸村様に、今の私を見られることが怖かったのだ。
政宗殿に酔いしれて、翻弄されて、女になっていく自分。
それは幸村様に恥じぬ姿かと問われると、とても答えられない。
しかし政宗殿は、苛立ちを隠せない表情で、また私を床に押し倒した。
「・・・いい加減にしろよ? テメェ・・・」
「・・っ・・・」
・・・怒らせた。
声が、出ない。
こんなに低い声で語りかけられるのは久しぶりで、熱くなっていた体は一瞬で凍りついた。
「俺がどれだけ待ったと思ってやがる・・・。甲斐へ返したアンタを、一日だって忘れたことはなかった。アンタが欲しくてたまらなかった。・・・あのときテメェを真田幸村に返したのは間違いだったぜ。この俺が、たぶらかされるとはな」
苛立ちを含んだ笑みを浮かべた政宗殿に、私は心が痛んだ。
そうだ、政宗殿は私を待っていてくれたのだ。
それを知りながらずっと避け、こうして奥州へ来たのちも受け入れることを拒んでいる。
たぶらかしてなどいない。
私の心は、もう政宗殿のものだ。
・・・でもそれを伝えることができぬということは、政宗殿に対する侮辱。