第1章 再会の意味
「・・・あ、あの・・・」
すると、兵のうちの一人が、弱々しい声で切り出した。
その兵は新顔だった。
まだ若く、怖いもの知らずなのだろう。
緊迫したこの大将と側近に対して物申す。
彼は、片倉殿の隣にいる私を苦い顔で覗き込んでいる。
「なんだ。何か意見があるのか?」
「い、いえその・・・片倉様・・・お隣の方は・・・? 初めてお見受けするのですが・・・」
「ああ、紫乃は武田んところの忍だ。今は一時的に俺達に同行する」
「・・・武田の・・・? 余所の軍ということですか・・・?」
・・・明らかに、私のことを疑っている。
分かりやすく眉をハの字に吊り下げて、余所者である私を見てくる。
しかし疑うのは仕方ない。
普通はこの状況はおかしいのだ。
私はコホン、と一度咳払いをし、誠意を持って答えた。
「確かに私は余所者だ。しかし政宗殿をはじめ、伊達の皆には恩義も情もある。ここにいるうちは力を貸すつもりだ」
「そうだぜ! 紫乃はもう俺たちの仲間だ!誰も疑うんじゃねぇぞ。」
疑った新顔の兵に向かって、良直もそう言ってくれた。
・・・良かった。
伊達の軍には友情を深めた者たちが大勢いる。
このようなときに私などが加勢すれば怪しむのではなかという不安もあったが、それは杞憂に終わりそうだ。
「・・・それじゃあ仕方ねぇ。あぶり出すしかねぇな。小十郎」
「はい。明日にでも」
それでも伏兵が紛れていることには変わりない。
二人の視線に兵たちは震え上がった。
どんな手荒な手段をとるのだろうか・・・。