第1章 再会の意味
そんな片倉殿の言葉に私は頷いた。
「私も同じだ。お館様の天下に身を置き、お継ぎになる幸村様のお側に生涯お仕えする。・・・片倉殿と私の夢は、相容れないものだ」
「・・・紫乃・・・」
「・・・自分の心は自分が一番よく分かっている。それでもその心は己の夢と相容れないものだから。・・・だから、私はそれを言葉にはできぬ。してはならないのだ」
「・・・」
ああ、片倉殿の、この厳しく慈愛に満ちた表情を見ると、とても嘘は言えぬのだ。
茶を置いて、私は立ち上がった。
その場を去る前に、一言だけ。
「片倉殿には、本当のことを言う。私は、政宗殿のことを好いている。・・・誰にも言えないけど、な。どうか心に秘めておいてくれ」
「#name#・・・」
「私はもう行くぞ! 里の皆に挨拶してくる!」
───誰かに言葉にしたのは初めてだったからだろうか。
自分を取り巻いていたモヤモヤとした霧が晴れていくような、すっきりとした気分だ。