第1章 再会の意味
「・・・紫乃。一つ聞いていいか?」
「なんだ? 片倉殿。改まって」
片倉殿は盆に湯呑みを置いた。
「政宗様のこと、お前ぇはどう思っている?」
「・・・っ・・・」
"そんなこと知らない"と反射的に答えそうになったが、私はその言葉を飲み込んでいた。
片倉殿の顔が真剣だったからだ。
知っているだろうに、そんなこと。
「・・・ああ見えても、政宗様はお前ぇの心の内を知りてぇはずだ。白黒はっきりさせたがる政宗様が、今のままお前ぇを側に置いているのは・・・紫乃、お前ぇを大切にしているからだ。」
「・・・」
分かっている。
雑なようで、政宗殿は私を大切に思ってくれている。
それは私自身が感じているのだ。
そんな政宗殿の言葉に答えぬままこうして奥州に来た私に、片倉殿はもう煮えきってしまっているのだろう。
・・・それでも私には、言葉にできぬ理由がある。
「・・・片倉殿。片倉殿には、夢はあるか?」
「・・・夢?」
「ああ、この先どうなっていきたいと思っているんだ?」
「それはずっと変わらねぇ。政宗様が天下を取られたのち、生涯その背中をお守りする。それが俺の夢だ」
百姓の格好をしていても、その目は武士の目をしている。