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【戦国BASARA】*月夜の盃 2*【R18】

第4章 雪どけの朝





「・・・お館様・・・?」



向かい合う武田と伊達。

誰もが刀を置き、お館様の言葉を噛みしめていた。



「確かに、世は戦国。好いた者と簡単には一緒になれぬ世じゃ。

しかし、紫乃よ。独眼竜、そして幸村のように、次の世を担う若い者が、それを変えていけぬ理はない。

わしら先人の敷いた道のみを行く必要などないのじゃ。武田と伊達が、手を取る日が来ないと言い切るのはなぜじゃ?この戦国の世に終わりが来ないと言い切るのはなぜじゃ?

先の日のことなど、わしらは知らぬ。なればそれを憂い、自らの道を閉ざすことなど、あってはならぬ。

・・・お主らで作ればよい。お主らが、胸を張っていられる世を。わしは、それを裏切りなどと思わんよ」

「・・・・お館さまぁぁあああー!!」



お館様の胸に飛び込むと、山のようなその不動の体が、私を受け止めてくれた。

そして父のように、頭を撫で、抱き締めてくれたのだ。


「ハッ、あんたにゃ敵わねえな、オッサン」


どんなに理屈を捏ねようと、私はこの温もりを、甲斐の温もりを知っている。

私の故郷は甲斐なのだ。

還る場所を失っては、たとえ政宗殿と結ばれようとも、私は真に幸せになどなれはしない。

お館様に抱き締められながら、隣にいた佐助様が、ポンポンと頭を撫でてくれた。


「あーあ、ひどいよ紫乃。俺にはなーんにも言わずに出て行っちゃうんだからさ」

「佐助様っ・・・ごめんなさいっ・・・」

「独眼竜のものになったって、俺は紫乃の兄貴分でしょ?」

「はいっ・・・」



積もった雪が朝陽に反射し、なんとも眩しい朝。

武田と伊達が手を取る日が、必ず来る。

そんな世に、私たちが変えてみせる。


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