第4章 雪どけの朝
「・・・政宗殿。お前のものになれて嬉しい。・・・私もお前のこと、好きだ」
「・・・フッ、長かったぜ、アンタを手に入れるのは」
本当はずっと前から、私はお前だけのものだった。
政宗殿だけが、大好きだったのだ。
戸を開けたまま、冷たい風に負けぬよう、私たちはまた口づけた。
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朝になると、懐かしい片倉殿の声で目が覚めることとなった。
『政宗様! 起きて下さい! 開けますぞ!』
「なんだ小十郎、朝っぱらから・・・」
私は急いで衣服を纏い、腰ひもを結んだが、縦結びとなったまま、不自然に出迎えた。
「か、か、片倉殿っ・・・久しぶりだなっ・・・」
「紫乃!?」
片倉殿は五秒ほど無言で考えて、昨夜何があったのかを自分の中でまとめ上げたようで、すぐに表情を切り替えた。
「なるほど、紫乃が来ていたのですか。政宗様、表に武田の軍勢が迫っております」
「へぇ。コイツを取り返しに来たってのか?」
「えっ・・・?」
・・・・そんな・・・・
お館様っ・・・
私は、武田と伊達が争う引き金になるためにこちらへ来たつもりはない。
なのに、どうして・・・?