第4章 雪どけの朝
政宗殿は、わずかに障子を開け、その近くに腰を下ろした。
「なんだ、甲斐は雪降らねえのか?」
「いや、そんなことはないが・・・こんなに白く、重く、景色を塗り替えるほどの雪は降らぬ。」
窓から冷たい風が流れ込んできて、思わず身を震わすと、彼は私を後ろから優しく包んできた。
彼の体温は、いつも熱い。
心地よくて、その胸に背を預け、絡み付く腕に、私の手を添えた。
織田討伐にて、政宗殿に出会った。
お館様から命じられ、悔しく思いながら、伊達軍に混じり、多くの敵と戦った。
政宗殿が危篤となったときがあったが、そのときは、彼が自分にとって主君に値すると自覚し、彼が死ぬことを心から恐れた。
幸村様への忠誠を忘れるほどに政宗殿が気にかかり、そんな自分を律しようともした。
そして政宗殿に、想いを告げられた。
それを拒絶し、彼を避け、私は甲斐へと戻ってしまった。
豊臣討伐のため、再度奥州へと戻ったが、政宗殿は私のことを、ずっと待っていてくれた。
私が政宗殿のものとなる今日まで、彼は、私をずっと好きでいてくれた。