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【戦国BASARA】*月夜の盃 2*【R18】

第4章 雪どけの朝




なんと政宗殿に酌をしてもらうなんて予想しておらず、私は猪口を持つ手が震えたが、政宗殿はそこになみなみと酒を注いだ。


「酔ってしまうぞ、こんなに・・・」

「酔えよ。どうせここには俺しか居ねぇんだ」


・・・どういう意味だ。

くそ、心臓が鳴り止まない。


その音を無理矢理静めるようにして、私は猪口の酒を飲み出した。


「甲斐には何て言って出てきた?」

「・・・幸村様には、もうそばには居られぬことを告げてきた。他には、何も。文だけを残して、ここへ来た」

「・・・そうか」

「何だか変な心持ちだ。昨日まで、私の帰る場所は甲斐であったのに。そこにもう帰れぬなどと」


弱音を吐いたが、政宗殿はそれには答えてくれなかった。

ただ酒を味わうように飲むだけ。


「・・・おい政宗殿、何か言って」

「アンタが好きだぜ、俺は」

「え・・・」


なぜ彼がいきなりそんなことを口にしたのか、まるで分からない。

ただ彼は私を見つめて、ポツリとそう言ったのだった。


「な、なんだっ、いきなりっ・・・」

「アンタが甲斐を捨てて来たことを、後悔させねぇって言ってんだよ」

「・・・政宗殿・・・」


お互いの瞳は、いつもより多くの水分を含んで揺れていた。

それは酒のせいであり、見つめ合うと、ぼんやりと視界も揺れるのだった。


「・・・・政宗殿」


政宗殿と最後に口づけをしたのは、いつであっただろうか。

酒に濡れた自分の唇を舐めとると、同じく濡れている彼の唇を、じっとりと見つめた。


「・・・政宗殿・・・。
あの・・・・・・・・・・・寒くないか・・・?」


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