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【戦国BASARA】*月夜の盃 2*【R18】

第4章 雪どけの朝






───そして私はまた、奥州へと向かった。

文は幸村様に託し、私が甲斐を離れてからお館様にお渡しいただくようにお願いした。

今日は奥州と甲斐の行き来で忙しく、この道のりもすっかり馴れてしまった。

しかし、もうすっかり夜になり、奥州に近づくにつれ、肌を突き刺すような寒さに包まれていく。


「なんという寒さだっ・・・」


武田を振り切った喪失感で、気分は良好とは言えなかったが、また、政宗殿に会える。

これ以上彼を待たせるわけにはいかない。

私はもうこれ以上ないほど、彼を待たせたのだ。



──城につく頃には、すっかり夜も深くなっていた。

辺りは静まり返り、里に人の姿はない。

政宗殿も、片倉殿も、きっと眠ってしまっているだろう。

門番に話せば城を開けてくれるかもしれないが、それは気が引けた。

(・・・仕方ない)

私は木の上から城の屋根に飛び移ると、政宗殿の寝所がある奥の間の前に降りられるよう、屋根裏をつたっていった。

とても静かだった。

息を潜めれば、政宗殿の寝息が聴こえてくるのではないかというくらいに。


「・・・っ・・・」


しかし、屋根裏から少し見えた奥の間の様子に、胸が鳴った。

政宗殿は眠っていなかったのだ。

布団に入らず、着流しに羽織を着たまま、遠くを見ていた。


胸が鳴った理由は、それだけではない。

あまり意識していなかったのだが、私はこうして彼の『寝所』を訊ねて来てしまっている。

敷かれた布団や、鎧でも袴でもない着流しを着ている無防備な姿が、ここが寝所であるということがありありと伝わってくる。

あの布団に、もしや私が組み敷かれはしないだろうかと、ドキドキと胸が鳴っているのだ。

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