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【戦国BASARA】*月夜の盃 2*【R18】

第3章 幸村の想い




「っ・・・」

「紫乃、泣くな」

「お前、他人事だと思って・・・」

「うるせー。アイツとも今生の別れってわけじゃねぇだろ。里帰りくらい許してやらぁ」

「・・・じゃあもう、幸村様とは、闘わないということなのか?」

「ハッ、そんなわけねーだろ。すぐにでも決着をつけに行ってやるぜ」

「お前言ってることがメチャクチャだぞ!」


政宗殿の腕の中から抜け出して、彼の瞳を睨み付けた。

このまま城に連れかえられては困るので、少し距離をとった。

政宗殿は、いつもここにいる。

私は何度も逃げたのに、彼はいつも、自分の気持ちに正直だ。


「・・・もういい。政宗殿、私は行くからな」

「今度はすぐ戻って来い。俺に迎えに来させるなよ?」

「・・・政宗殿。私は、お前が思っているよりずっと、お前のことが好きだ。・・・もう逃げたりしない」

「・・・っ、早く行け。ここで俺がお前を食っちまう前にな」

「っ・・・く、食われては困る! それじゃあな!」



──政宗殿の方は、もう振り返らずに走った。


私はこんなにも女だったのだ。

彼に包まれた体が、いつまでも熱い。

彼の硬い胸の感触、私の背と腰に回された強い腕の感触、それがまとわりついて、離れない。

もう、彼と、しばらく口づけをしていないことすらも、この唇が感じ取っている。


身体中が、政宗殿を求めているのだと思い知った。



──甲斐へ戻ったら、幸村様に、別れを告げなければならない。

幸村様の想いに、応えられぬこと。

それでも幸村様が大好きだということは、伝えてはならない。

その資格が私にはないからだ。

愚かにも私は、敵の大将を好きになってしまった。


──私はこれから、甲斐を捨てるのだ。


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