第3章 幸村の想い
「・・・すまない。政宗殿」
「ごちゃごちゃ考えやがってうるせぇんだよ! テメェは俺のもんだっつってんだろ! 今さらあの野郎に何を言われたか知らねえが、血迷ってんじゃねぇ!」
「・・・政宗殿。お前は、私と幸村様の絆を、甘く見ている」
「ア"ァ!?」
「幸村様は私の大切なお方だ。幸村様が私を愛しているというのなら、私はそれを受け入れたいのだ」
「テメェッ・・・!!」
「なのに!!」
──涙が止まらない。
胸の奥底から沸き上がる気持ちに、抗えない。
「なのにっ・・・幸村様が一番、大切なのにっ・・・それなのに、全部お前のせいだ、政宗殿・・・
お前が現れてから、メチャクチャなんだ・・・お前に出会わなければ良かったのだ・・・
お前に出会わなければ、私は、私は幸村様のお気持ちに、応えることができたのにっ・・・」
──全部全部、政宗殿のせいだ。
「紫乃・・・」
「お前のせいだ・・・お前なんて大嫌いだっ・・・」
「・・・こっち向け、紫乃」
「嫌だ! お前の顔など見たくない! 幸村様が一番大切なのに、それなのに私は、お前のことっ・・・・
好きで・・・好きで、好きで、好きでっ・・・
お前が好きで・・・どうしようもなく、好きで・・・
好きで、好きで、好きで・・・
好き、でっ・・・」
止まらないんだ。
政宗殿のことが、好きで好きで好きで、もう、止まらないんだよ。
「っ・・・紫乃、オイ・・・お前、」
「政宗殿が、好きでっ・・・本当に、そんな自分が、許せないんだっ・・・許せないのに、自分の気持ちを殺してしまいたいのに、なのにっ・・・」
私が言い切る前に、政宗殿は、私の体を、強く強く抱き締めていた。
「・・・もういい、紫乃」
「なのにこんなに、お前のことが、好きなんだっ・・・」
「もういい・・・十分だ」
鍛え上げられた固い肉体は、私を真綿のように優しく包んだ。
──ごめんなさい、幸村様。
私はどうしても、この腕の中にいたい。
何度でも、この腕に戻ってしまうのだ。