第1章 再会の意味
「紫乃」
「片倉殿! 精が出るな!」
里におりて畑へと立ち寄ると、先程まで政宗殿のそばについていたはずの片倉殿の姿があった。
彼は暇があると畑へと出向き、野菜作りをしているのだという。
いつもの固い鎧は脱ぎ、百姓の姿で鍬を土に降り下ろしていた。
「こんなところまでどうした。落ち着かねえか?」
「そんなことはない。いつ来ても、この奥州の景色は良いものだ。里の皆には良くしてもらったからな、私にも手伝えることはあるか?」
「・・・そうだな、少し付き合ってもらおうか。茶でも飲もうと思っていたところだ」
手伝う、と言ったのにうまくごまかされてしまったが、片倉殿が私と話をしたいと言うのなら大歓迎である。
私は片倉殿のことは信頼しているのだ。
彼の判断はいつも正しい。
政宗殿が側に置いている理由もよく分かる。
たまにはそんな彼と、深く話をしてみたいと常々思っていた。