第1章 再会の意味
──────
「・・・と、いうわけだ。政宗殿、片倉殿。またしばらく奥州で世話になる。異論があるようならお館様に言ってくれ」
片倉殿も呼んで、再度広間に腰を据えた。
ここへ来た理由は勿論そのとおりには説明できず、いろいろと脚色したが。
片倉殿は特に賛成も反対もせずに私の言い分を聞いている。
「政宗様も俺も、今更紫乃が同行することに反対したりはしねぇ。お前ぇのことは信用してるつもりだ。・・・甲斐の虎は、また敵を近隣諸国で囲もうとしてるのか?」
「・・・いや、まだそこまでの算段は立っていない。雲を掴むような話だ」
幸村様に与えられたお役目が果たされれば、九州や瀬戸内とともにまた豊臣を囲み伐つこともできるだろう。
しかし、幸村様はまだ先日出立されたばかり。
とても囲み伐ちをするような段階ではない。
「・・・でもまた、政宗殿は囲み伐ちに力を貸す気などないのだろう?」
「まあな。俺は誰とも手は組まねぇよ」
「・・・だろうな。でも潜伏侵略とやらが仕掛けられている今は、お前は大阪に行くべきではない。悪いが見張らせてもらう」
「OK.そりゃ退屈しねぇですみそうだぜ」
前、ここへ同じことを言いに来たときより、なんともすんなりと許可が出た。
・・・信用されているのだろうか。
──話は終わり広間を後にする。
見慣れた奥州の城の中を、あてもなく歩き回った。
潜伏している兵はいないか、見ない顔の兵を探してみるが、あれから領土を広げたせいか新顔は多くいた。
・・でも懐かしい。
見知った顔の兵たちは、奥州へ来た私に声をかけてくれる。
やはり奥州は居心地がいい。
政宗殿に会えたことだけじゃなくて、こうして皆と再会できたことを思うと、お館様の任務をお受けして良かったとも思うのだ。