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【戦国BASARA】*月夜の盃 2*【R18】

第3章 幸村の想い





──「紫乃様」

「なんだ」


考え事をしながら城下の警備をしていると、森の方向から戻ってきた配下が、慌てた様子で私を呼んだ。


「北で少しばかり衝突があったようです。国境を守る兵が、他国の兵に仕掛けられたようで」

「衝突?」

「はい。お館様にも報告しましたが、ただの小競り合いゆえ、忍で対処するように、と。"紫乃を向かわせれば十分だ"と言っておりましたので・・・」

「分かった。私が行く。場所は?」

「最北の矢倉です。仕掛けてきた兵は伊達の者かと思われます」

「・・・え?」


髪を結い上げながら、私は配下の言葉に目を丸くした。

伊達の兵?

なぜ武田が伊達に仕掛けられねばならぬのだ。


「佐助様は越後の様子を見に行ったまま戻っておりません。紫乃様、私もお供致します」

「・・・いい。一人で大丈夫だ」

「しかし・・・」

「平気だ。行ってくる」


奥州の方角へと、私は急いで忍具を飛ばした。

今はまだ政宗殿に会いたくないのに。

いや、政宗殿に会いに行くのではない。

国境で起きている小競り合いの様子を見に行くだけだ。


それでも、この見慣れた道は、政宗殿へと続く道。

そこを辿るように飛びながら、私は北を目指したのだった。



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