第3章 幸村の想い
「政宗様、それは紫乃が決めてそうしているのですから、どうしてこの小十郎に分かるはずがありましょうか」
「テメェがけしかけたんじゃねぇか。アイツに、真田幸村のところへ戻るように」
「・・・」
「お前、なにが引っ掛かってんだ」
「・・・政宗様。紫乃は、政宗様とともに戦い、絆を深め、そして自身の想いにも気づいていたはずです。しかし、それと引き換えに、手放さねばならぬものがあることは、見て見ぬふりをしていたように思います。・・・そこに気づかぬまま、この奥州に残るべきではありません」
「shit・・・! アイツは面倒な女なんだよ! あの頭ん中で考えさせたってろくなことにならねぇんだ!」
「仮に政宗様の望まぬ結果になろうとも、それが紫乃の選んだ道にございます」
「テメェッ・・・」
大きな舌打ちとともに、政宗は小十郎から顔を背けた。
小十郎の言い分には腹が立って仕方がないが、しかし返す言葉は見つからなかったのだ。