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【戦国BASARA】*月夜の盃 2*【R18】

第3章 幸村の想い




──────


「紫乃」

「・・・佐助様・・・」


縁側に座ってボーッと空を眺めていると、佐助様が隣に腰をおろした。

腑抜けた私の顔を、じっくりと覗きこんでくる。


「聞いてたよ、さっきの」

「えっ」

「旦那とのやりとり。まあ、俺はずっと知ってたんだけどね」


幸村様の名誉のために、先程のやりとりを他人に相談などする気はなかったが、佐助様は全てを見透かしている様子であった。

そしてやはり、佐助様は知っていたのだ。

確か政宗殿も前に、幸村様は私に惚れているようにしか見えない、などと言っていた。

気づかずにいたのは、私だけなのだろうか。


「で、どう思ったの?旦那に想いを告げられて」

「・・・どう、と、いいますか・・・」

「困っちゃった? まあ、今更、旦那のことそういう風には考えられないよね。何年も、そういうこと考えずに接してきたんだから」

「そんなことありません!」


私は、はっきりと否定した。

そのことに、佐助様はまるで予想外であったかのように、目を丸くして驚いていた。


「佐助様。私が先程、幸村様のお気持ちをお聞きしたとき・・・一番に感じたのは、嬉しいという気持ちでした」

「・・・え、え、そうなの?」

「私は決して、幸村様を主君として、ただそれだけで慕っていたわけではありません。・・・お優しいし、お強いし、男としての幸村様も、申し分ないじゃないですか。私だってずっとそう思っていました。幸村様と結ばれる人は、なんと幸せだろう、って。いつか私から離れていってしまうことを考えると、辛いですし、お相手の方が羨ましいと思ってしまいます。そんな幸村様が、本当はずっと私を想っていてくれたなんて、そんな、そんな嬉しいことはありません」

「紫乃・・・」

「幸村様のことを男として見ることはできない、なんて、決してそんなことありません」

「じゃあ、受け入れるの? 旦那の気持ち。独眼竜のことはどうするの?」

「・・・」


そこなのだ。

私がこんなにも頭を悩ませているのは。

幸村様はこんなにも素敵な人なのに、私が首を縦に振ることができずにいるのは、政宗殿のせいなのだ。

政宗殿を好きだと、自覚しているからだ。


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