第3章 幸村の想い
「・・・幸村様」
「かようなこと、いきなり告げて、申し訳ござらぬ。しかしこのまま、某の想いを知らぬまま、政宗殿のところへは行ってほしくなかったのだ」
「・・・幸村様、私は、そのように想っていただけていたなんて、その・・・」
「今すぐ言葉を見つけてほしいわけではありませぬ。・・・気に病まれることもない。某は、紫乃が考えた上での言葉を聞きたいだけなのでござる」
「・・・はい・・・」
幸村様は気を違って下さっているのか、「某は少し寝る」と言って横になり、目を閉じた。
私も部屋を出た。
「・・・」
放心状態で、廊下をスタスタと進んでいく。
誰かが声をかけたりもしたと思う。
しかしそれは目にも入らず、この耳にも届かなかった。
今は幸村様に告げられたことへの衝撃で、何も考えられなかったのだ。