第3章 幸村の想い
「そ、そんなことございません・・・! 私などの力ではなく、幸村様がお強いから、このような結果になったのでございます・・・! 政宗殿も、幸村様が要塞を止めなければ豊臣と決着をつけることはできなかったはずなのです。そうだ、政宗殿にも会いに行った後、そのことをよく言っておきますから! 幸村様がどんなにお力を奮われたのか!」
「紫乃。そのことだけではないのだ。・・・紫乃はいつも、某に力をくれる」
「え・・・」
政宗殿の話を出したが、幸村様はそこには一切言及しなかった。
この広間は、ひどく静かであった。
幸村様の様子も、なんだかいつもと違っている。
男らしい目をしている。
少年のようなキラキラとした瞳ではなく、憂いを帯びた、今までの全てを見つめているような、そんな瞳だ。
「幸村様・・・?」
「紫乃。聞いて下され」
幸村様は、膝の上で組んでいた私の手に、手を重ねた。
「もうこの気持ちを、某の中に秘めておくことはできませぬ。某は、紫乃を愛している。共に過ごした日々、今日までずっと」