第3章 幸村の想い
幸村様がこんなにも立派に、一人の武将として誇らしくあられることに、嬉しさが込み上げてきた。
だから幸村様がこうして目覚めたとき、日ノ本は守られたことを、私が一番に伝えたかったのだ。
伊達軍はすでに奥州へ戻ったとの知らせを聞いてはいたが、幸村様がこうして目覚め、その勝利を伝えるまでは、政宗殿に会いに行くことを後回しにしていた。
それくらい、嬉しかったのだ。
──しかし、こうして幸村様にお伝えできたのだから、次は政宗殿に会いに行かなくては。
政宗殿が豊臣を降したこと、それもまた私を誇らしさで満たしている。
政宗殿にも、賛辞と激励、そしてこの心に秘めたままのたくさんの言葉を伝えたい。
「紫乃」
「なんでしょうか、幸村様。」
「某が毛利を落とすことができたのは、紫乃のおかげでござる」
「え・・・?」
幸村様はそう言うと、布団から起こした体を、こちらへ向けた。
「要塞の熱にあてられたとき、紫乃の声が聞こえたのだ。その声が、某を正気に戻した。勝たねばならぬという強い意志を呼び戻したのでござる」
何の役にも立つことが出来なかったと思っていたので、私はその言葉に素直に顔を赤くした。
幸村様のお役に立てた。