第3章 幸村の想い
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「・・・ん・・・ここは・・・」
「幸村様!! 幸村様、聞こえますか!?」
幸村様の目がゆっくりと開いたので、私はそのお顔をぐっと覗き込んだ。
毛利との戦いで見せた雄々しい表情ではなく、今はすっかり安らいだお顔をしている。
私はホッと胸を撫で下ろした。
「・・・紫乃。なぜここに・・・?某は一体・・・」
「ここは武田です。幸村様。あれからもう四日も眠っておられたのですよ」
武田の城の広間。
たてなしの鎧の前で、いつかのお館様、そして政宗殿と同じように眠っていた。
私はこの四日間、枕元で幸村様が目覚めるのを待っていた。
「毛利を討ち果たした後、幸村様は気を失ってしまわれたのです。大丈夫です。騎馬隊も、薩摩も無事に帰りました」
「そうであったか・・・。しかし、豊臣は!? 小田原へ向かった豊臣秀吉はどうなったのだ!?」
「幸村様、急に動いては体に障りますよ! ・・・それでは順にお話しますから」
幸村様が毛利の要塞を討ち、それと同時に薩摩の島津殿が、徳川が退いていくまで薩摩を守りきったとの知らせが入った。
目覚めぬ幸村様ともに武田へと戻る道中、各地の戦況は、すべてが芳しい方向へ向かっていることも分かった。
大阪で開放された仲間とともに、元親は脱け殻となった豊臣の城を落とすことに成した。
そして小田原へ向かっていた豊臣秀吉、本人は、政宗殿が討ち落としたのであった。
「豊臣が落ちたことで、上杉軍も無事でございました。日ノ本は、皆の力で守られたのです」
「・・・そうか・・・政宗殿が、豊臣を討ち果たしたのでござるな・・・」
「はい。・・・幸村様。幸村様があの要塞を止めてこそ、政宗殿が豊臣と戦えたのですよ。私は、幸村様が誇らしいです」
「紫乃・・・」