第3章 幸村の想い
「馬鹿め! 貴様の行動など、我の計算どおりよ!」
!?
天台にいる毛利元就を討つべく飛び込んでいった幸村様の体を、奴は輪状の刀の風圧でうち飛ばした。
「くっ・・・!」
飛ばされた幸村様はそのまま日輪に取り付けられた反射鏡のうちの1つに打ち付けられ、さらにそこへ毛利が逃がさぬとばかりに刀を飛ばし、幸村様の体を反射鏡へ固定した。
反射鏡の表面に大の字で磔になることを余儀なくされた幸村様は、打ち付けられた衝撃で動くことができずにいる。
「我が日輪の力、己が身を持って思い知るが良いわ!」
先程の日輪の焼き尽くす光の力を目の当たりにしていた私は、まさかと思い、目を見開いて幸村様を見ていた。
そんな、まさか、まさか・・・
「ぐぁぁあああっ!!!」
!!
幸村様の叫び声が響き渡った。
この脳裏に浮かんだ通り、毛利はからくりを操っている部下に指示を出し、幸村様が磔になっている反射鏡に、太陽の光を集め始めたのだ。
「幸村様っ・・・!」
幸村様の今にも喉の千切れそうな苦痛に満ちた呻き声がこだましている。
「熱いっ!! ぐぁああー!!」
そのお姿を目の当たりにした途端に、ぶわぶわと涙が止めどなく沸き出した。
こんなの、こんなの死んでしまう。
やめてくれ。
私の幸村様が。
ずっと一緒に、ずっとずっと共に過ごしてきた、ずっと共に生きてきた、私の人生の全てである幸村様が、幸村様が死んでしまう。
そんなの嫌だ。
「幸村様ぁあ───────!!!!」
叫ぶことしかできなかった。
幸村様と同じ、喉が裂けるほどの血まじりの声を出した。
それは幸村様に向けて放った言葉というよりは、この天の神に許しを乞うようにして放った声であった。
「幸村様ぁ!! 紫乃をおいて行かないで下さい!
嫌だっ!!死なないで! 幸村様ぁああ──────!!!」