第1章 生きてみせろ
初めて見せた瞳は、漆黒。
パチパチと音がしそうな程、瞬きを繰り返しながら、赤子は纏をするクロロの姿を凝視する。
「・・・・・」
そのまま、クロロと赤子が見詰め合うカタチで時が止まる。
(何だ?)
周囲の空気に僅かな違和感を感じ、クロロは片一方の眉を跳ね上げ、ほんの一瞬赤子から目線を外した。
次の瞬間………
ゆらり
赤子の姿が歪んだように見えた。
「!」
ビュオォォォ………!
クロロが身構えるよりも速く、赤子のオーラが渦を巻いていく。
ちょうど、赤子を中心にして小さな竜巻が発生したかのように。
自身のオーラだけでなく、周囲の空気も一緒に巻き込んでおり、ごく近くに立っているクロロも勢いよく吸い寄せられそうになる。
「くっ」
両腕で顔をかばい、スタンドを広く取って足に力を入れる。
バキッ、ベキベキッ………!
クロロの足がゴミを踏み潰し、更にその下の地面にめり込んでいく。
ビュオォォォ……!
ガラガラッ、バキ!……バキャッ!
赤子の2・3倍はあろうかというトタン板や、自転車のサドルだったモノなど周囲のゴミも吸い寄せられており、竜巻の中心にいる赤子に衝突している。
しかし、どのゴミも赤子の身体に触れる前に木端微塵に砕け散った。
纏うオーラが赤子を守っているのだ。
ビュオォォォ………!
強風に負けぬよう身体に力を溜め、腕の間からその様子を目にし、
クロロは驚きに虹彩を輝かせる。
(これは………!)