第2章 蜘蛛の巣
ココがあたし達の故郷、
あたし達が帰る場所だ。
右を見ても左を見てもゴミの山ばかり。
今踏みしめている大地も無数のゴミから出来ていて、ろくに草も生えてきやしない。
飲み水を確保するのだって一苦労だ。
そこら辺に流れる水なんか舐めた日には……まぁ、十中八九あの世行き。
ココ、
流星街で生きていくことが
どれだけ大変か。
「ふぅ…」
「あら、あなたが溜息なんて珍しいわね?
マチ」
「あまりに下らない仕事だったから、嫌気がさしただけさ」
マチと呼ばれた少女は肩をすくめると、見るともなく周囲に散らしていた視線を連れに戻す。
「パクだって同じだろ?」
「そうね」
マチと並ぶと背の高さが際立つ少女もまた、同じように肩を動かした。
「裏切り者を始末する為に大陸横断なんて、馬鹿げてるわね」
「まったく……団長は何考えてるんだか」
「そんなの分かる訳ないわ。
というか、分かりたくもないわ」
自分達の首魁を罵りながら、2人は流星街を歩く。
厄介かつ、下らない仕事を押し付けた張本人、クロロが待つホームへ帰る為に。
幻影旅団のホームへ帰る為にー……
~第2章 蜘蛛の巣