第10章 新米探偵に依頼あり
凛は頷く智晃を見ると嬉しそうに目を細めてソファに腰を下ろし、彼にも座るように促した。
智晃は凛の正面のソファに腰を落ち着けた
智晃
「んで?これからどうすんだよ」
凛
「依頼が来ない限りはやる事がありませんからね…まぁでも、貼り紙もしてきましたしそれも時間の問題かと。それから、智晃にはこっちに集中していただくので学校へは行けません」
智晃
「え、そうなのか。…まぁ、春太も居ねぇし行かなくても困る事はねーから良いけどよ」
凛
「そうですね。向こうに戻るための事務所ですし、学校に通いながらですと効率も悪いですから。…ご理解頂けて良かったです」
智晃はその言葉に頷き背凭れに背を預けて口を開く
智晃
「そういや、凛が言ってた仲間ってのは?」
凛
「そろそろ来る頃だと思うのですが…」
おかしいですね、と凛が壁にかけられた大きめの時計を見上げるのと同時に事務所の扉が開いた
?
「悪い。遅くなった」
姿を現したのは切れ長な目に僅かにかかる分かれた前髪に顎まで伸びた髪、すらっとした背を持つ男だった。
その存在が扉を閉めると凛は笑みを浮かべてソファから立ち上り、男へ近付いた
凛
「お待ちしてました。…黒髪というのも中々に新鮮ですね」
?
「凛も向こうとは全く違うな」
凛
「馴染まなくてはいけませんからね。…ふふ、新鮮でしょう?」
首を傾げて涼しげな印象の男を見上げながら、凛が笑顔で問い掛けると素直に頷く。
そんな二人の親しげな会話を聞いていた智晃は入って良いものか悩んだ結果、小さく咳払いをした
すると、それに反応するように凛が声を上げた