第15章 この世界の事
智晃
「何か騒がしいな」
凛
「そうですね、何かあったんでしょうか」
二人が外へ出ると人がバタバタと同じ方から走ってくるため、二人は人々が走ってきた方へと向かってみた
智晃
「凛、あれ…!」
凛
「火事のようですね。…智晃は周りの人達を避難させてください」
智晃
「分かった!凛は?」
凛
「中に人が居ないか確認してきます」
智晃
「は?危ねえって!」
凛
「大丈夫です」
火の中に飛び込むと言う彼女を智晃は慌てて止めるも、いつものように柔らかく笑む。
智晃は心配だったが、言っても聞かないだろうと思い仕方なく頷いた
凛が火元の家へ来ると熱がダイレクトに伝わってきた。
先程、噴水広場にいた少年の一人がすすで黒くなっている姿でその家を泣きながら見上げていた。
その少年に凛が近寄り
凛
「大丈夫ですか!…お怪我は?」
少年1
「大丈夫、ですっ…けど…まだっ…中に、妹が…!」
“妹”と聞いて凛の表情はかわった。
凛
「……っ、大丈夫です。私が助けます」
少年1
「凛様…!」
優しい笑みを残して凛は火の中へ飛び込んでいった。
中は既に住んでいた様子が分からないくらいにボロボロで、肌をひりひりと焼くような熱が襲う。
早く見付けなくては…凛は気を付けながら辺りを見回す
凛
「無事ですか…!」
小さい身体を更に小さくして怯える女の子を見付けると、凛は女の子を抱き締める
助けが来た事と安堵できる凛の声に女の子は涙が溢れそうになった
凛
「すぐにお兄さんの所へ連れていってあげます。…大丈夫ですよ」
─バンッ…!
凛
「……っ!」
突然、鳴り響く銃声と左脚に走る熱に凛は顔を歪める。
彼女の白い肌を貫いた銃弾により赤が流れる
女の子
「凛様…!」
凛
「大丈夫です」
女の子
「でも、血が…!」
凛が撃たれた事に動揺した女の子が今にも泣き出しそうな声を上げる