第2章 不思議な転入生
その後もタイミングを見計らって話し掛けようと試みるものの、転入生という事もあり皆が興味があるらしく休憩時間にはすぐに囲まれてしまってそんなチャンスはどこにも転がっていなかった。
智晃
(そうだ昼飯…!昼飯に誘えば良いんだ!)
そして、ちょうど今鳴ったのが昼食を知らせる鐘だった事もあり智晃は後ろを振り向いたが…
智晃
(居ねぇ…!)
何処に行った…と思いながらキョロキョロしていると、昼食を急いで買いに行っていた春太が帰ってきて紙を持った手を振っていた。
智晃
「何?」
春太
「凛ちゃんが、これをお前に渡せって」
智晃
「…おう、さんきゅ」
春太は智晃に紙を渡すと、飲み物を忘れたと騒いで教室を出て行ったが、彼は気にする事なく貰った紙を開いて目を通す。
──────……
────……
屋上の少し重たい扉を開けて、辺りを見回すと木製のベンチに腰掛ける紙の送り主である凛を見付けて近付く。
智晃
「何で俺が「捜しているのが分かったのか…ですか?」
智晃の言葉を遮った澄んだ声に素直に頷くと、凛はそれを見て微笑んだ。
凛
「貴方は朝見た事を問いたかったのですよね?今まで話す時間がありませんでしたから。それなら、私をお捜しになると思いまして」
智晃
「やっぱあれ、凛だったのか…」
朝の果物泥棒未遂時に姿がはっきりと見えなくも捕まえた、あの澄んだ声は聞き間違える筈がなかった。
凛
「はい、そうです。この世界は魔法が当たり前です…ですが、その魔法で悪事を働くものは許せません」
智晃
(俺と同じだ…)
と、彼は許せないという言葉に全て話を聞いたわけでもないのにそう勝手に思っていた。