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彼岸花を抱いて

第9章 彼等が生きた証




智晃 父
「凛…お前は強くなった。親父さんもお袋さんも誇りに思っているな…」

智晃 母
「そうね…美しくて強い。そして、優しく暖かい貴女が私達は大好きよ…」


「ま、待ってください…。今…治癒を…っ」

智晃 父
「良いんだ、凛。もう…間に合わない」

智晃 母
「ええ…。……凛、智晃を宜しくね…」

智晃 父
「俺達が生きた証を…宝を、宜しくな」





スピネル族の長であった智晃のご両親も…亡くなってしまいました。
最後まで戦い続け、最期まで貴方の事を大事に思っていました。



















「これが…貴方のご両親を私が守れなかったお話です。……すみません、智晃」




凛は智晃に深く頭を下げた。




智晃
「……凛が謝る事じゃないだろ。守ろうと必死に戦った…それはもう、守った事になるだろ」


「智晃…」

智晃
「聞けて良かったよ。改めて俺が何のために剣を振るのか、伸びしろがあんのか理解できた気がする。…ありがとな、凛」





その言葉に凛は泣きそうになるのをぐっと堪えながら笑みを浮かべた。
そして、智晃はにかっと笑い




智晃
「魔器を使いこなせるようになって、父さんも母さんも…凛も!俺が守ってやるからな」


(……流石は彼の子ですね。しっかりと彼の血が流れているようです)




強い意思を持った智晃の言葉と瞳を見て、凛は智晃の本当の父を思い出して嬉しそうに胸の内で呟いた。





智晃
「ん?なら、凛が来たっつー事は俺を迎えに?」


「はい、その時がきました。…でも、今すぐにではないです」





凛の言葉に智晃は不思議そうに首を傾げる






「ある程度の力を戻してから上へ向かいます。今の力では人間より少し強いくらいです…それでは、上で浮いてしまいます」

智晃
「修行してからっつー事か」


「そういう事です。蓋をした力は少しずつ解放させている状態です」

智晃
「少しずつ?」





智晃の問いに凛はゆっくり頷く



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