第9章 彼等が生きた証
智晃 父
「くそっ…埒が明かん…!」
聞き覚えのある声に視線を揺らすと彼等がいました。
お父様は二本の刃物を受け止めていて、その背後から刃物を振り翳した別の男性が現れました
智晃 母
「あなた危ない…‼」
智晃 父
「……っ…!」
凛
「アイシクルアロー…!」
私は慌ててその男性に向けて氷の矢を降らせました
智晃 父
「“凛”…!」
凛
「大丈夫ですか!」
智晃 父
「嗚呼、助かった…っ」
彼等の顔や身体は傷だらけでした。
最初から此処に居れば、もっと被害も少なかったかもしれないと…後悔しました。
彼等に安堵の笑みが見えて余計に辛く胸が痛かったです…。
智晃 母
「あなたに、頼みたい事が…!」
凛
「何です…?」
互いに敵を薙ぎ倒している最中に彼女から声を掛けられました
そして、告げられたんです。
智晃 母
「智晃を!…私達の大事な息子をこんな危険な場所から逃がして…っ」
智晃 父
「俺等が此処に生きていた証を…頼む!」
本当はその場を離れてはいけないと思いました。
ですが、彼等の瞳を見たら…頷いていました
──────……
────……
凛
「良かった…」
彼等の家に到着すると、貴方はとても安全な場所に居ました。
まるで、本当は戦争なんて起こっていないんじゃないか…そう錯覚してしまう程に静かな空間になっていて、彼等は流石だなと感じました。