第8章 不思議少女の正体
智晃はどこか安心していた。
魔器が出せるのなら魔法を使わなくて良い、と
彼はどうしても魔法は使いたくないらしい
凛
「えっと……これで良いですかね」
智晃
「木の棒?」
凛
「はい。…では、やりましょうか」
智晃
「ちょ、ちょっと待てよ!お前それでやんのか?」
凛
「何か問題でも?」
刃物と木の棒で戦おうとする凛に対して投げた言葉だったが、不思議そうに首を傾げられてしまうと自分が間違っているんじゃないかと勘違いしてしまう
凛
「大丈夫ですよ」
智晃
「ほ、本当に行くぞ?」
凛
「はい、構いません」
― 20分後 ―
智晃
「はぁ…はぁ…っ…ぜんっぜん、当たんねぇ」
地面に剣を置いて膝に両手をつき肩を上下に動かす智晃を凛は呼吸一つ乱れず見ていた
剣を振っても振っても凛に当たる事はなくかわされたり、木の棒で軽く流されたりと…不思議な程に当たらなかったのだ。
凛
「やはり…これだから本気で来られないみたいですね」
凛は自分が持っている棒を見ながら呟いた
凛
「智晃」
智晃
「あ?」
腕で汗を拭いながら智晃は凛を見る
凛
「これは本気でやって頂かないと困ります。なので、本気が出せるよう私も魔器を出します」
膝丈のスカートをはいている為どこに刺青があるのかは分からない智晃は、じっと凛の手元を見詰める。
すると凛は、右太腿の側面に触れ前に手を出すと彼女より大きな刃の真っ白い鎌が出現した
その鎌はどこか神秘的な白さをしており、刃には薄水色のダリアが刻まれている事から彼女の太腿にはダリアの刺青があるのが分かる。
柄の先端はアイスピックのように鋭く長い…
そして刃は両側が切れるようになっていて扱いづらさが醸し出ていた