第7章 一つの決意、大きな一歩
呂道
「そんじゃ始めようかね」
近くにあった平たい石に呂道は腰掛けて智晃を見る
呂道
「まず刺青を入れる前にお前さんの希望を聞こう」
智晃
「希望?」
呂道
「何だ、聞いてないのかい」
智晃が凛へ視線を向けるとただただ微笑んでいるだけだった
呂道
「仕方ない、あの人はそういう人じゃ」
やれやれと笑いながら告げる呂道の言葉は昔から凛の事を知っているような口振りで智晃は首を傾げる
呂道
「ホッホッ…いや、何でもないさ。魔器刺青っちゅーもんの刺青模様は儂等が考えるものじゃない」
智晃
「え、そうなんですか?」
呂道
「嗚呼、所有する本人が決めるんじゃ」
智晃
「んな急に言われてもな…」
悩むように首を捻る智晃を呂道は目を細めて見詰めていた
智晃
「凛、何かねぇか?」
凛
「そうですね……。あ、ガーベラなんていかがです?」
智晃
「ガーベラか…」
凛
「ガーベラは一括りに言ってしまえば“前向き”や“希望”のような花言葉を持っています。…貴方は自らの境遇を聞いても前向きに受け入れようとしています。そして…智晃は彼等の希望です、貴方にぴったりのお花だと私は思います」
呂道は静かにホッホッと優しく笑んだ
智晃
「んならガーベラにする」
呂道
「うむ。何色にするんだい?」
智晃
「色なんか入れれるんですか?」
呂道
「嗚呼、刺青は魔法で入れるからの」
智晃
「凛。ガーベラの色によって花言葉が変わんのは知ってる…けど俺はそんなん分かんねぇから言うなよ」
凛は智晃に釘を刺されると口元を手で押さえてクスクス笑みながら頷いた