第7章 一つの決意、大きな一歩
【智晃 side】
父
「父さんと母さんの間には子供が…出来なかったんだ」
智晃
「……は?」
いきなり告げられた言葉に声が震える
二人の間に?なら…俺は何だ?
きっと冗談だ…そうだ
智晃
「冗談やめろよ。だって俺は─「違うの」
母
「違うの…智晃」
その短い言葉だけで充分だった。
俺は二人の子じゃ…ない
父
「出来ないって分かっても、俺と母さんはどうしても…子供が欲しかった」
母
「だけどね、何をすれば良いのか分からなかったの。欲しくても叶わない願いだった」
苦し気に話す事実を俺は黙って聞いた
母
「その時に白くて…天使みたいな人が来たの。天使みたいなんて馬鹿みたいって智晃は思うかもしれない…でもね、母さん達にはそう見えたの。だって…赤ちゃんを抱いていたのだから」
智晃
「それが…俺?」
母
「そう。まだ首が座って間もないくらいだった」
その時の事を思い出したのか母さんは優しい笑みを浮かべていた
父
「お前の事を託してくれた白い人が言っていたんだ。“この子は彼等の生きた証。時が来たら迎えに来る”と。たとえいつか離れる事になっても嬉しかったんだ…智晃が来てくれたのが」
智晃
「…………。証って…何だ?」
俺の問い掛けに二人は眉尻を下げて自分の足元へ視線を落とす。
こんな二人の顔…見た事ねぇ…。
父
「…どう話したら良いのか分からないんだが…そうだな。智晃の髪は少しだけ赤っぽいだろ?」
智晃
「ああ」
父
「それは、赤髪が特徴の種族…スピネル族の息子だからなんだ」
智晃
「………スピネル族…?」
それぞれの種族に何か特徴があるのは知ってる
スピネル族は赤い髪を持つ種族で最強戦闘種族だと聞いた事あるけど…俺がその種族の息子?
んなわけないだろ。
俺は弱いし魔法だって最近、安定したが完璧に使えるわけでもねぇし