第7章 一つの決意、大きな一歩
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智晃
「あのさ」
食事が終わりソファに腰掛けながら智晃は何気なく話題を切り出すように声をあげる
父
「何だ?」
同じくソファに腰掛けていた父が首を傾げて智晃を見た
智晃
「俺が生まれた時ってどんなだったんだ?」
─ガシャンッ
智晃
「………っ?」
後ろから音が聞こえて智晃が振り向くと洗い物をしていた母が持っていた皿を床に落としていた
母
「ご、ごめんね」
智晃
「手伝う」
キッチンに入り割れた皿を片付けながら母の様子を窺うと驚いているような焦っているようなそんな表情をしていて、その時初めて軽々しく聞いて良いものじゃ無かったのではないかと思う
それと同時に、何の理由があるのか…凛は何故これを聞けと言ったのか
母
「ありがとう」
智晃
「おう」
そのまま智晃がソファに戻ると父が一つ息を吐いて言葉を溢す
父
「何で急に気になったんだ?」
智晃
「いや、何と無く。そういやそんな話聞いた事ねぇなーと思ってよ」
父
「…そうか」
更に重くなる空気にやっぱり簡単に聞いて良いものじゃ無かった、と確信する
父
「母さん」
母
「分かった…」
いつもの明るい声じゃない二人に智晃の胸に不安が募る
呼ばれた母は父の隣に腰掛けた。