第6章 祝いと別れ
智晃
「行動?」
凛
「今までの出来事、じゃないですか?」
智晃
「今まで…」
春太
「今まで色々、したんだ。最近は吸血鬼に人間を襲わせたり、強盗に襲わせたり…」
智晃
「じゃあ、ディアがおかしくなったのも…春太が?」
春太
「それは俺じゃない。福留だ。あいつがその吸血鬼を操って智晃を動揺させ攻撃した…俺はそれを見てろと言われたから見てたんだ。けど、あのままじゃ…智晃が死んじまうと思って」
凛
「助けたんですね」
春太はゆっくりと頷く
春太
「今日のは俺も知らなかった。…あいつ怖ぇんだ。何でも知ってていつでも監視されてるみてぇで。福留が直接来たからやべぇと思った…ぜってぇに智晃を守んねーとって」
智晃
「お前…大変だったんだな。けど、春太が死んじまったら…せっかく助けた弟、どうすんだよ」
春太
「それは…大丈夫なんだ」
智晃
「は?」
春太
「蘇らせた本人が死んだら…蘇った存在も、消える。だから、俺は凛ちゃんに命を助けてもらわなかったんだ」
智晃
「けど…」
春太
「あいつが死ぬってなったら…困ったけど、俺が死ぬならあいつも一緒だしよ。独りにしなくて済むんだ」
先程の…ここに来る前に智晃と交わされた言葉の歯切れ悪さはこれが理由だったようだ
話す春太は幸せそうに微笑んでいた
春太
「ごめんな、智晃。変な事に…巻き込んじまって。最初は福留に言われたからだったけど、今はお前と仲良くなれて良かったって思ってる…お前と馬鹿やれて、楽しかった。…ずっとお前が俺の中で一番の友達だ、智晃」
智晃
「ったりめーだろ。最初からずっと友達だっつーの…これからもだ」
春太
「凛ちゃんも巻き込んじまって、ごめんな。君とも仲良くなれて良かった…智晃は優しすぎて何も出来ねぇ時あっから、引っ張ってやって」
凛
「はい。…今まで苦しかったですよね、ゆっくり休んでください」
春太
「ありがとう…智晃、凛ちゃん」
最後に“福留には気を付けろ”と残し
春太は微笑みながらゆっくりと目蓋をおろした─…