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彼岸花を抱いて

第6章 祝いと別れ




春太
「────……弟を生き返らせた」


「……っ」

智晃
「そんな事…出来ん、のか?」

春太
「出来る。…弟は事故死だった、けどちっせぇのに可哀想で…俺には弟しか生き甲斐は無かった。そん時にあいつが……福留が俺の前に現れた」


「禁忌の誘い…ですか」

春太
「うん。俺はそれまで蘇生の魔法なんて必要なかったから知らなかった…けど、あいつが急に現れてそれを教えてくれた。おかしいって…思うべきだった」

智晃
「…思わなかった、のか?」

春太
「思えなかったんだ。あの時の俺に余裕なんて無かった。弟が助かんなら何でもするって、禁忌にも触れてやるって…思う壷、だったんだろうな」





当時の事を思い出して悔しそうに春太は顔を歪める






春太
「そんで俺は弟を蘇らせた。当然、俺は人間に降格…それでも良かったんだ。あいつが戻ってきて人間界も案外悪く無かったし。…あいつが俺の前にまた現れるまではな」

智晃
「福留か…。って、あいつも種族っつー事か?」

春太
「ああ。けど福留は人間には堕ちてねぇと思う。…んで、あいつが現れた時に言われたんだ。“弟が助かって良かったね、今度は君が俺を助けてくれる番”だって」





そこで言葉を止めると一つ息を吐き出して





春太
「お前と仲良くなれって」

智晃
「俺と?」

春太
「ああ。理由は教えてくれなかったけど、俺には断る理由なんか無かった…脅されてるような気分だったんだ」


「それで、学校に入学して言われた通り智晃と仲良くなったのですか?」

春太
「ん。簡単だったよ、お前の周りには友達なんか居なかったしよ。けど、お前と一緒に居て馬鹿やってたら楽しくて演技してる俺じゃなくて素の俺だった。でも、あいつが担任としていたから素だっつーのを悟られねぇように言われた通り行動した」



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