第6章 祝いと別れ
【NO side】
凛ならこの状況をすぐに破ると読んでいたのか福留は姿を隠し背後から智晃を狙い魔法を発動させ、それに気が付いた春太が智晃の腕を引き彼がいた位置に自分が入ったのだ
ぐらりと大きく揺れる春太の腹部が段々と赤に染まりゆく─…
智晃
「春太…っ!」
倒れてきた春太の身体を智晃は震える手で受け止める
その様子を福留は何か攻撃を仕掛ける事なく気味の悪い笑みを浮かべて見ていた
春太
「智晃……ごめ、んな…」
智晃
「謝んなよ…っ」
春太
「ちゃん、と…っ…お前に、説明…しなく、ちゃなんねぇ…のに」
智晃
「当たり前だろ。だから、くたばったら許さねぇからな…!」
春太
「おう…」
智晃
「弟だって…お前を待ってるだろ」
春太
「あー…だな…しっかり、しなきゃ…っ……智晃」
弱々しく笑みながら掠れる声で話す春太に涙を堪えながら智晃は言葉を交わしつつも呼ばれるとしっかりと見据え
春太
「俺は…っ…ちゃん、と……お前の、智晃…の…一番、の───…友達、だからな」
智晃
「……春太…?」
優しく微笑みながら言葉を発さなくなった春太に智晃が細い声で名前を呼ぶ
暫く二人のやり取りを唇を噛みながら見ていた凛が口を開く
凛
「早く、ここから逃げましょう。…まだ今なら間に合います」
智晃
「間に合、う?」
凛
「春太を助けます」
福留
「させないよ」
凛
「智晃、春太を運んでください」
智晃
「…っ…分かった」