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彼岸花を抱いて

第6章 祝いと別れ




福留
「演技だとは思わなかった?」


「演技がたとえ上手くても、あんな雰囲気は出ません」

福留
「…また、邪魔をするんだね」







また…?
またって…何だ?
───…凛は何を隠してるんだ?







智晃
「紛いモノ…か?」

春太
「違う」





小さく出てしまった呟きに春太が答える。
紛いモノじゃねぇなら…何だ?
普通の人間が発するような雰囲気じゃねぇ…。
…いや、今はそんな事どうでも良い



ここから逃げて…春太に事実を確認すんだ!







「私が隙を作ります」

智晃
「は…?」





俺と春太の前に歩み出た凛は、福留から視線を逸らさずに告げた

逃げる?
凛を置いて?─…また守られんのか?






智晃
「俺は逃げねぇぞ」


「ですが…」

智晃
「足引っ張らねぇようにするから!」

春太
「………」


「……、分かりました」







凛からの承諾に俺の口角は上がった



魔法がまだ完璧なもんじゃなくても足掻いてやる












福留
「“彼等”と一緒だ…あぁ、嫌だ。──…さっさと終わらせよう」










福留の纏う空気が明らかに変わると緊張が身体を覆い尽くすのが分かり、呼吸が僅かに乱れた








「……まずいです。近付いてください…!」





初めて聞く凛の焦ったような強い言葉に俺と春太は慌てて彼女に近付く









福留
「本当に…邪魔だ。……ミッドナイトファミリア」


「ストレングススペース…っ」






福留が詠唱するのと同時に凛も詠唱をする



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