第6章 祝いと別れ
昼間は賑わっている街も夜になると人は少なく静かな街へとかわる。
比較的に安全な街だが、何もないわけではない。
───── “紛いモノ”
この街…世界には、紛いモノという恐ろしい怪物が現れる
基本的には人の形すらしていない一目で怪物だと分かる姿をしているのだが、中に紛いモノ界で上位になれるくらい魔法力や戦闘力が強い者になると化ける事が出来てしまうのだ。
そして、紛いモノは人間の骨まで食べ尽くしてしまうような存在。
狙われる確率が高いのは圧倒的に女性。
男性がないのかと問われると、それはない…ただ少ないというだけ。
だから、必ず智晃は凛を送り届けるようにしている
凛
「………?」
不意に凛が脚を止めて深い闇を見詰める
智晃
「どうした?」
凛
「何か…気配を感じます」
春太
「………この気配…」
ただならぬ雰囲気に三人は顔を強張らせるが、一人の心情は何やら違うようだ
?
「…………待ってたよ─────君達を…」
智晃
「………福留?」
間違えようがない顔と声は、担任のものだった
凛は担任福留をじっと見詰めたまま僅かに動きさりげなく智晃を守るようにする
春太
「なん、で…」
明らかにいつもの春太とは違う声色に智晃は違和感と不安感を抱き隣を見る
八重歯を覗かせて笑い明るい春太には似合わない戸惑いの表情が浮かんでいた