第6章 祝いと別れ
凛
「これは、ここで良いですか?」
母
「うん、ありがとう凛さん」
春太
「そういや、何でおばさん達は凛ちゃんの事を知ってんだ?」
智晃
「なん「凛さんが泊まりに来たのよ!」
スープを温め直している母が智晃の言葉を遮り微笑みながら答えると、春太は驚いて凛を見て真相を聞こうと口を開く前に凛が椅子に腰を下ろしながらにこりと笑った。
春太
「おぉい、智晃どういう事だ!」
智晃
「どういうったって、ただ泊めただけだっつーの」
春太
「何で俺も誘ってくれなかったんだよー!」
智晃
「お前うるせぇし。…それに、俺が誘ったんじゃねぇよ」
春太
「何!?」
凛
「私が行きたいとお願いしました」
智晃
「何もねぇから落ち着けよ」
父
「ははっ、元気だなぁ」
母
「ほらほら、早く食べましょ?」
机に並んだ沢山の食べ物は立ち込める湯気が温かさを物語り、食欲をそそるように鼻腔を擽る。
挨拶を終えると全員が思い思いの物に箸を伸ばし、口内に広がる美味しさに話に花が咲いた
智晃を除く全員
「誕生日おめでとー!/ございます」
食事を終えケーキを前に改めて祝う。
凛
「美味しいです」
母
「良かった」
春太
「凛ちゃん苺いる?」
智晃
「俺がもらってやるよ」
春太
「あ!智晃…!」
横から伸びてきた智晃の手によって、春太の苺は姿を消した。
絶え間なく溢れる笑顔と声で幸せに包まれている空間は暖かさで満ち皆の大事な思い出の一頁として深く刻まれた