第6章 祝いと別れ
智晃
「俺ん家?」
春太
「そ!」
智晃
「俺、練習あんだけど」
凛
「今日はお休みです」
智晃
「は?」
妙にニコニコしている凛と春太を怪訝そうに見ながらも、智晃は承諾をした。
その後、授業が全て終わると三人は他愛ない会話をしながら智晃の家へと向かった
春太
「いやー、久々だなぁ、智晃ん家」
智晃
「そうだったか?」
春太
「そうだよ!」
春太の言葉に意地悪く笑って答える智晃が扉を開けると…
─パンッ パンッ
智晃
「……っ!?」
目を丸くしながら固まる智晃の前には満面の笑みを見せている両親がいた。
智晃
「何だ…?」
両親
「誕生日おめでとう!智晃!」
智晃
「えっ」
そして、智晃は再び固まる。
春太
「おっまえ、自分の誕生日いつんなったら覚えんだよ」
母
「本当よねぇ」
父
「さ、玄関で立ち話もなんだ。中に入ってくれ二人とも」
春太
「おっ邪魔しまーす」
凛
「お邪魔します」
智晃
「二人に?」
春太
「おう。人は多い方が良いだろ?んだから、二人に頼んで祝うの混ぜてもらったんだよ」
智晃
「成る程な」
春太から説明を受けると納得した智晃は背凭れに背中を預けた。
毎年、智晃の誕生日は家族だけだったし、春太も学校で祝うだけだったが凛も来て仲良くなった事だから皆で、という事で春太が両親に連絡をとったのだった
母
「はいはい、沢山作ったから沢山食べてねー」
春太
「おばさんの飯、美味いから嬉しいわ」
春太の言葉に母はあらあら、と嬉しそうに笑いながら食事を机上に並べていく