第5章 不安定と再戦
脚を動かして蹴りを入れようにもそんな事をしちまったら確実に腹に剣がぶっ刺さる
ぜってぇ、逃げてやる…
けど、息が…っ
?
「エアロ…!」
突然、耳に届いた声と共に空力がぶつかりディアの身体が大きく揺れ俺の首から手が離れた事により地面に落ちる
智晃
「何…だ…っ?」
咳をしながら空力の原因を探るように目を動かすと…
智晃
「なっ…」
智晃
「春太…っ!?」
春太
「おう。大丈夫かぁ?」
予想もしていなかった春太の登場に目を丸くする俺に、この場に似合わない程軽くいつも通りに八重歯を見せて笑っていた
ディア
「………」
立ち上がったディアはぼーっと春太を眺めた
春太
「随分と力持ちなお嬢さんだなぁ?」
ディア
「………」
春太
「無反応かよ。…何か人形みてぇで気持ちわりぃな」
春太が顔を歪めてディアへ視線を送る
智晃
「春太…お前、何で…っ」
春太
「散歩の途中」
よろよろと立ち上がりながら友人へ声を掛ける
智晃
「春太…やめとけって…っ」
春太
「ボロボロのくせに何言ってんだよ」
智晃
「うるせぇ、よ…」
春太
「さぁ、来いよ。吸血鬼嬢」
春太がディアを見据えると、彼女は素早く春太と距離を詰める
春太
「スノーストーム」
ディア
「……っ」
春太が詠唱すると吹雪が起きディアを包み込む
春太
「アレナエストレア」
追い討ちをかけるように春太が詠唱すると、今度は吹雪の中に砂が流星のようにディアへ襲い掛かる