第5章 不安定と再戦
智晃
「…っ……っ、!」
ディアが剣を振り下ろす度に俺は何とかかわす
けど、こんな避け方じゃいつ当たってもおかしくねぇ
智晃
「やべ…っ…!」
間一髪でかわしたものの制服の片方の袖が破れちまった。
俺の技術ではディアの絶え間ない攻撃に魔法を発動させる時間が全く足りない、対抗できない
ディア
「………」
智晃
「はぁ…はぁ…っ」
避けたり走ったりして体力の限界が近付いてきていた
はいていた靴を脱ぐと一足ずつディアに向けてぶん投げると、それを剣で防ぐのを横目で確認しながら草原に少しだけ立っていた木の影に身を隠す
智晃
(やるしか、ねぇよな…せっかく…教えてもらったんだ)
木に背を預けながら自らの右手を見下ろし、ぐっと拳を握る
これしかない。いや、これしか出来ねぇ…!
智晃
(今だ…!)
智晃
「フローズンフォール!」
俺を捜して背中を向けていたディアに掌を向け叫ぶと、ディアの上が水色に光り大きな氷達が彼女の身体に音と震動を連れ降り注ぐ
やった…か?
様子を窺っていると、ゆらっと動く人影が見え俺は絶望する。
もうない。何も出来ねぇ…凛に教えてもらった攻撃魔法もディアには効かなかった。
諦めるつもりは…
智晃
「ねぇ…!───…がぁ…っ!」
苦しい。
目の前には俺の首を片手で掴み、その細腕のどこにそんな力があったのか俺の脚が地面につかねぇくらい持ち上げるディアは無表情のまま俺を見上げて剣を腹部に狙いを定める
智晃
「や…めろ、ディア…っ!」
首を掴む手を剥がそうとするが、あほみたいに力強く剥がす事が出来ねぇ