第5章 不安定と再戦
吹雪で凍えるディアの露出している肌を砂が傷付けていく度に赤が増える
それでも表情を変えないディアは不気味だった。
春太が言うみたいに人形化したみてぇに
ディア
「………はい」
見にくいディアの姿を必死で見ていると僅かに唇が動き、確認しようとした次にはその中にディアはいなかった
春太
「どういう事だ?」
掌をおろした春太が怪訝そうに呟いた
春太
「まぁ、良いか…大丈夫か?智晃」
智晃
「おう…」
──────────
凛
「何をなさっているんですか?」
?
「何って?見学だよ─…花澤さん」
凛
「そうですか。…では、貴方は何者ですか?」
?
「おかしな事を言うね。…ただの担任だよ」
凛
「担任であれば、吸血鬼と戦い危機に陥る生徒を助けるべきではなかったんですか?」
福留
「……ふふ」
──────────
智晃
「で、何でお前がいんの」
春太
「だーかーら、散歩の途中だっつーの」
?
「そうなんですか?」
不意に澄んだ声が聞こえると二人でそっちを向く
智晃
「凛…?お前、何でここに」
凛
「何だか嫌な予感がしたので来てみましたが…間に合わなかったようです」
二人の登場に理解が出来てねぇ俺を置いて凛は友人に向ける視線とは違うもんを春太に送ってる気がした
眼鏡の奥の目が笑っているようで笑っていない…
何だ、この感じ。
凛
「さて、帰りましょうか」
智晃
「は?」
凛
「智晃の事、運んでくださいね春太」
春太
「凛ちゃんに頼まれちゃ仕方ねーよなぁ。智晃ボロボロだし」
凛
「ふふ、そうですね」
智晃
「お前らなぁ…!」
分からない事だらけのままだったが、今は考えたくなかった俺はそのいつもの空気に安堵の息と笑みを溢した