第4章 安定と初陣
春太
「へぇ…つか、何で凛ちゃんが答えんの?」
凛
「え?そんなの一緒にい…っむぐ」
智晃
「何となくだっつーの」
春太
「いや、それも何でお前が答えんの?」
慌てて凛の口を押さえて答えたが、それにも春太は引っ掛かったようだ
春太
「んー?何か怪しいぞー…?」
目を細めて二人を交互に春太が見る
春太
「智晃!駄目だからな!勝手に抜け駆けして、凛ちゃんとデートなんて!」
智晃
「はぁ…何でそうなる」
春太
「最後まで聞こえなかったけど、一緒に居たんだろ!つまり、デートだろ!…つか、そろそろ手を離せ」
春太に言われて思い出した智晃は慌てて手を離す
話が逸れた(?)事により智晃は本当の事を言わずに済みこっそり息を吐き出した。
産まれてから数える程しか魔法を使っていないような人間が最近、魔法の練習をした所で吸血鬼に挑み生きて帰って来られる方がおかしいからだ。
それから、登校してやっと二人は自分の席へ腰を落ち着ける。
【智晃 side】
授業中、俺は思い出していた。
吸血鬼に噛み付かれそうになる瞬間の心臓の痛さ
人に暴力を振るった時の感触と心の痛さ
身体を狂ったように痛め付けられる感覚ー…
俺は…凛が来てなかったら死んでたかも知れねぇ。
それくらいディアの表情や目は本気で怖かった
昨日、俺は今まで経験した事のない出来事を体験した。
体験して改めて思った…怖い、と。
俺は自分の右斜め後ろに座っている凛を横目で微かに見た
凛は強い。
─…強すぎる。
そして、慣れすぎている…気がした
彼女は本当に人間なのか…?